『アメリカン・テロル』においては、18世紀から20世紀にわたる文学テクストの中に、アメリカ的「恐怖」の本質をさぐり、その心的負荷をアメリカ文化が21世紀の現代どのような形で対処しようとしているかのケースをいくつか論じ検証した。本研究では、アメリカが自己の領域を規定する言説のもととなったモンロー・ドクトリンの歴史的効果を、19世紀、20世紀、21世紀の政治的言説の中で分析し、それが、文学的ナラティヴとして各時代に反復されるとき、どのような政治状況の心的ダイナミズムを反映しているかを検討する。その際、レトリック分析に加え、精神分析的アプローチ、人種の言説への洞察、演劇・芸能・音楽についての研究などを取り入れて、政治・文化の総体として地球規模の空間における「アメリカ」の意義と効果とについて学際的な考察を提示する。