2010年度第2回研究会:テネシー・ウィリアムズの新世紀:越境する初期作品の再発見

2010年11月22日(月)18:30~20:30 成蹊大学10号館2階第2中会議室

基調発表:「世界を心に抱いて――『欲望という名の電車』と初期一幕劇」講師:相原直美(千葉工業大学)

ワークショップ:「Thank You, Kind Spiritを読む」

真野貴世子(成蹊大学・院)

小椋道晃(立教大学・院)

富山寛之(慶應大学・院)

コメンテイター:相原直美

本基盤研究(B)は、「全体性」を志向する欲望と「部分」であることへの不安を刻印するモンロー・ドクトリンの普遍的な力学に注目しつつ、この言説がアメリカ文学・文化の空間的および時間的位相を定義づけてきた歴史的経緯をグローバルに検証する試みである。

第2回となるこの研究会では、2011年に生誕100年を迎えるテネシー・ウィリアムズの初期作品を現在の視点から再考する。過去10数年の間に、未発表だった彼の戯曲は次々出版ないしは上演されており、劇作家の全体像は今もなお刻々と変化しつつある。そこで、ウィリアムズの新世紀を見据えるにあたり、まずゲストスピーカーの相原氏から、『欲望という名の電車』に加え、2005年に出版された一幕劇集、Mister Paradise and Other One-Act Plays(1930年代後半~40年代前半に書かれた未発表作品が中心)を論じて頂き、21世紀の今はじめて見えてくる初期ウィリアムズ像の輪郭を確認する。その後はワークショップ形式とし、上記一幕劇集の中から、Thank You, Kind Spirit を取り上げて、若手研究者3名にそれぞれの視点からこの作品を分析して頂く。

なお、Thank You, Kind Spirit は、『欲望』と同じくニューオーリンズを舞台とし、クレオールの女性霊媒師が登場する一幕劇である。カリブへと通ずる越境的な土地を背景に、人種、宗教、階級の問題を複合的に提起しつつ、魔女狩りの時代から連綿と続く他者排除のアメリカン・テロルをあぶり出すこの作品は、モンロー・ドクトリンの諸相を考える本研究会に格好の素材を提供するはずである。まだ「発表」されて間もなく、先行研究のない「新作」について、ぜひフロアーからも活発な議論をお願いしたい。

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