2013 年 11 月 23 日(土) 18:30-20:30
成蹊大学10号館2階 第2中会議室
基調発表:「メルヴィルと環大西洋――往還するディプティック的想像力」
講師:西谷拓哉(神戸大学)
ワークショップ:「“The Paradise of Bachelors and the Tartarus of Maids”を読む」
加藤惠梨香(立教大学大学院博士課程)
田ノ口正悟(慶應義塾大学大学院博士課程)
菅原大一太(成蹊大学非常勤講師)
コメンテイター:西谷拓哉
本基盤研究(B)は、「全体性」を志向する欲望と「部分」であることへの不安を刻印するモンロー・ドクトリンの普 遍的な力学に注目しつつ、この言説がアメリカ文学・文化の空間的および時間的位相を定義づけてきた歴史的経 緯をグローバルに検証する試みである。
今回は、大西洋を横断するハーマン・メルヴィルの想像力について考察する。『白鯨』その他の海洋小説を書い たメルヴィルは、南北アメリカ大陸からポリネシア、ハワイ、日本に至る環太平洋地域を見据えていたのみならず、旧世界と新世界をめぐるトランスアトランティックな地政学的交渉にも多大なる関心を寄せていた。とりわけ「二枚折り絵」小説(diptychs)と呼ばれるメルヴィル中期の短編3作品は、英米の対照を浮き彫りにする二部形式を用いることで、彼の環大西洋的想像力を如実に映し出すテクストとなっている。
まず基調講演では、西谷拓哉氏が、『レッドバーン』から上記短編を経て『イズリアル・ポッター』に至る、英米両国を舞台とする小説と英国旅行日誌を概観しながら、メルヴィルが「行って戻ってくる」という旅の性質を作品にどのように形象化したのか、「二枚折り絵」という発想がいかにして生まれてきたのかを考察する。
その後はワークショップ形式とし、「二枚折り絵」小説の中から “The Paradise of Bachelors and the Tartarus of Maids”に焦点を絞り、そのトランスアトランティックな作品世界の諸相について若手研究者3名にそれぞれの 視点から分析を行って頂く。あわせて、フロアーからも活発なご質問・ご意見を頂ければ幸いである。
関心をお持ちのかたのご来聴を歓迎いたします。会場整理の都合上、前日までに日比野(hibinoあっとまーくfh.seikei.ac.jp)にメールでご一報くださるようにお願いいたします。